この記事ではN層アーキテクチャとはなにか、そして最も一般的な3層アーキテクチャの説明、そしてN層アーキテクチャのメリット、デメリットを説明していきます。
N層アーキテクチャ
Webプロダクトの機能をプレゼンテーション、ビジネス、データベース、サービスなどの複数のレイヤーに分割し、各レイヤーを独立して実装およびスケーリングできるようにするアーキテクチャです。
レイヤーを分けるということは、役割を切り離すという意味です。各レイヤーには特定の役割があります。システムの各層が物理的に分離され、個別のマシンで実行されることは理想的な状態ですが、実際のシステムでは必ずしもそうである必要はありません。同じマシンで複数の層がホストされることもあります。
物理的に層を分離することで、システムの拡張性と回復性が向上します。各層は独立してスケールアウトできるため、必要に応じて各層のマシン数を増減させることができます。また、物理的な分離により、ある層の障害やパフォーマンスの問題が他の層に影響を与えることが少なくなります。
ただし、物理的な分離にはネットワーク通信が必要になるため、通信にかかる待機時間が増加する可能性があります。したがって、システムのアーキテクチャを設計する際には、適切なバランスを見極める必要があります。拡張性や回復性の向上と引き換えに、通信のオーバーヘッドが発生することを考慮する必要があります。
N層は、多層または多層アーキテクチャとも呼ばれます。ここでの N は、2、3、4、5 などの数字を表します。最も一般的なのは、プレゼンテーション層、ロジック層、データ層を分離する 3 層アーキテクチャです。
3層アーキテクチャの説明
N層アーキテクチャで最も一般的なアーキテクチャは3層アーキテクチャです。
3層アーキテクチャでは、下記のレイヤーがあります。
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Web層
Web層はアプリケーションのユーザーインターフェースの一部です。エンドユーザーはウェブレイヤーと対話して情報を収集したり提供したりします。
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アプリケーション層
アプリケーション層には主にビジネスロジックが含まれており、ウェブレイヤーから受け取った情報に基づいて動作します。
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データベース層
さまざまな種類のユーザーデータやアプリケーションデータはデータベースレイヤーに格納されます。
それぞれのレイヤーをもう少し詳しく見ていきます。
Web層
Web層はプレゼンテーション層とも呼ばれます。Web層はユーザーが直接対話する部分であり、ウェブブラウザを通じてアクセスされます。ユーザーがWebアプリケーションにアクセスし、情報を入力したり結果を表示したりするためのインターフェースを提供します。Web層では、ユーザーの要求を受け取り、それを処理してアプリケーション層に渡します。例えば、ユーザーが商品を注文するフォームを入力したり、ブログの記事を閲覧したりコメントを残したりする際に、Web層が使用されます。
アプリケーション層
アプリケーション層は、Web層からの要求やデータを受け取り、ビジネスロジックを実行します。ビジネスロジックは、アプリケーションの特定の目的や要件に基づいて処理を行うコードやルールの集合です。たとえば、ユーザーの入力をバリデーションしたり、データの変換や計算を行ったり、特定の処理フローに従ってデータを操作したりする際に、アプリケーション層が使用されます。
データベース層
データベース層は、ユーザーデータやアプリケーションデータを永続的に保存する場所です。データベース層では、データベースシステムを使用してデータの作成、読み取り、更新、削除(CRUD)などの操作が行われます。データベースは、情報の永続性と安全性を提供し、必要に応じてデータのクエリや集計を行うこともできます。
設計時のポイント
N層アーキテクチャを設計する場合、何層まで追加すべきかを検討する必要があります。例えば、アプリケーション層をビジネス層、サービス層、永続層に分けることがあります。
しかし、各層には、サーバ群やネットワーク構成が必要です。つまり、層を増やすことはコストと管理のオーバーヘッドを増やすことを意味しますが、層を少なくすることは密結合のアーキテクチャを作ることを意味します。
アーキテクトは、アプリケーションの複雑さとユーザーの要求に基づいて、層の数を決定する必要があります。
例えば、データベースアクセスロジック用のデータアクセス層、データベースエンジン用のデータストレージ層といった階層を追加することが考えられます。論理的な分離を定義することで複雑さを軽減し、一般的なアプリケーションの保守性を高め、スケーリングやパフォーマンスの達成に役立つ層を追加することができます。
N層アーキテクチャのメリット、デメリット
N層アーキテクチャのメリット
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モジュール性と保守性
層ごとに機能が明確に分割され、変更や保守が容易になります。
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拡張性と柔軟性
新機能や要件の追加が容易であり、柔軟にシステムを拡張できます。
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技術の分離と再利用性
異なる技術要素が分離され、コンポーネントやモジュールの再利用が容易になります。
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スケーラビリティとセキュリティ
システムの成長に対してスケーラブルなソリューションを提供し、セキュリティの向上にも役立ちます。
N層アーキテクチャのデメリット
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複雑性とオーバーヘッド
N層アーキテクチャは複数の層で構成されているため、設計や実装が複雑になります。また、各レイヤー(層)間のデータのやり取りに伴うオーバーヘッドが発生する場合があります。
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パフォーマンス
層の増加により、アプリケーションのパフォーマンスが低下する可能性があります。データの移動や変換に時間がかかることがあります。
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学習コスト
N層アーキテクチャを理解し、適切に設計するためには、開発者が一定の学習コストを乗り越える必要があります。初めてのプロジェクトでは設計の適切な理解に時間がかかることがあります。
- オーバーエンジニアリングの危険性: 適切なレイヤー(層)の設計や分割が必要ですが、過度な分割や複雑なアーキテクチャ設計は、不必要なオーバーエンジニアリングにつながる可能性があります。
まとめ
今回はN層アーキテクチャについて深掘りしていきました。N層アーキテクチャのメリット・デメリットを把握した上でアーキテクチャを考えていきたいですね。
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